老いのひとこと

曇天小雨混じり、予報では終日傘マークで25度Ⅽとある。

ヨシ歩こうと奮い立つ、傘を携え草履ばき腰を伸ばし胸を張り何時ものコースを行く。

やはり其の御方も几帳面な農夫でした、あの時はほしいままに夏草が生い茂った畑地も綺麗に地肌を見せる。

行き交う人なく秋雨で濡れた道路をとぼとぼ歩く、例の子犬からの歓待も今日はない。

石踏み修行五巡を済ませば丁度雨が来た。

帰路を急ぎなでしこの丘の横道をわたしなりに急げば突然にもけたたましき警笛音が鳴り響く。

此れは明らかに注意喚起のシグナルではない、此れは悪意を持った嫌がらとしか言いようがない。

よぼよぼの年寄りよ、邪魔だ目障りだと言わんばかりに平然と過ぎる。

上気したわたしもドライバーの面を睨み付ければ高齢男性の横顏を覗く、短気は損気と自覚しながらも「此のバカ者メー」がと怒鳴りつけた。

高齢歩行者が精魂込めて懸命に歩みを執るとき、其れを愚弄するが如く威嚇するとは此れ一体何事だ。

絶対に許せないのだ。