老いのひとこと

9月ときけば流石の酷暑も次第に遠退き足早に秋が近付く。

陽射しなく秋風がたつ、どれどれ歩いてみようかと雨傘携え石踏み公園を目指す。

腰を据え腹突き出すように肩の力抜いて胸を張り視線は遠山の眼付きで前方にゆったりゆったり草履がけの足を動かす。

久し振りの歩行で時折辺りの景観に興味深く目を凝らす。

景観と言えど其れは露地栽培の畑地に過ぎず四か所の内一か所を除きみな夏草に被われ見るも無惨なる姿に何故かしら同情する。

あの暑さでは然もありなんと御身と重ね合わせ頷き納得す。

 

前方を直視して歩くのも決して容易くはない、何時の間にか猫背で俯き目線までしょぼくれる。

おのれの体力忍耐力の衰えを諸に痛感する。

 

いつものカ所で窓越しの子犬が二匹ワンワン吠えてわたしを歓待してくれる。

 

石踏み五巡を済ませ公園の樹々の秋への装いを此の目で確かめる。

 

学校園のサツマイモ栽培今年は無し此処も夏草生い茂り哀れにもコスモスは犠牲となり駆逐されたようだ。

 

何んとか家まで辿り着く、家に近付くにつれて胸を突き出し前を見ているおのれが其処に居るではないか。

 

秋風立つは其の日限りで又しても連日の厳しき残暑にはもううんざりだ。

お天道様がうらめしい。