老いのひとこと

小西清君から菊水分校跡地に立つ標識作成の再依頼の連絡が入る。

よくぞ、わたしのことを覚えて呉れていたものだ、無性に有り難さと嬉しさが込み上げる。

次の日に早くも材料の木柱やシリコン塗料や筆などが持ち込まれた。

そう云えば正確な年月日の記録も記憶も遠くに消え失せたにしろ拾二三年むかしに間違いなく此の標識作成に当たった張本人に違いない。

 

 

12cm×120cmの木面に53の文字を揮毫いたさねばならない。

制作意欲と気力の充実なくして斯くなる大業を為せる筈はなかろう。

急ぐ必要はなかろう機が熟すまで静観いたそう、充電するまで待てば良い話ではないか。

それまでに書体や字配りを熟慮することにしよう。

そして、万を期して一気呵成に書き上げよう、そう致そう。