老いぼれの独り言

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齢を取るに従い人様にシカトされることは殊の外つらいものだ。
其れとは逆に予期せぬことで思いの外人様より温かい心遣いを頂戴いたせばこころ和むものだ。
同時に、その優しき気遣いを施して呉れた先方様の意衷に深い感謝の念が込み上げてくるのです。
懐の深い御仁のお人柄に敬服いたすのです。
先日のこと、わたし宛てに一枚のはがきが届いた。
競技役員の委嘱状であった。
剣道競技の顧問職を仰せ付かった。
ところが、わたしには何らの実績もない。
肩書は一切ない。
段位は持つが口外できる代物ではない。
ただ、そこそこ齢を取っているだけである。
週に一度だけ面を被る現役かも知れない。
それにも関わらず、斯くなる処遇を授けられた狙いや根拠はこれ如何に・・・
老害呼ばわれし疎んぜられる世情に肩身狭く蠢くだけの身には格別異彩放つ吉報に違いなかった。
盛況裡に大会運営が成り立つように当日には参加して協力あって然るべきところ熟慮の末辞退を申し出ることにした。
役員席に列席するほど愚かではないし図々しくもない。
末席を貶すどころではない烏滸がましくて人間が廃ってしまう。
わたしの性分に合うはずがない。
丁重にお断り状を発送して置いた。
 
『剣の道は人間形成への道である。剣技が如何様に秀でていても片手落ちだ。
「惻隠の情」を兼備した真の優者でなくてはならない』
弱者と申しましょうか目立たぬ老輩ものにもそれなりの配慮を巡らすことが惻心であるとわたしは信じたい。
そのような大山と仰ぐような逸材がわたしの身近にも現にいらっしゃることを知って無上の喜びを覚えた。