老いのひとこと

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先日、テレビの時代劇番組で仲代達矢さんの「果し合い」を見た。


うたつが挙がらぬ「部屋住み」の老剣士の物語でした。


あんさまの息子つまり甥っ子の家に今以って居候する。


みなから疎んぜられ忌み嫌われるなか只一人その甥っ子の娘美也だけが此の佐之助を気遣って呉れた。


その美也の縁談が破綻し二人の仇敵同士が果たし合う場面に佐之助はおのれの暗い過去を彷彿させながらも重なり合わせ美也の意中の青年を加担するべく刀を抜いたのです。


既に老齢の域にある佐之助には致命的刀傷があり足を引き摺る跛行の身でもあった。


佐之助は秘かに深山に籠もり剣の技を磨く。


美也への恋慕に破れた相手は免許皆伝の剣客、八相に構えた太刀は情け容赦なく佐之助の脳天に振り注いだ。


佐之助はその氷の刃の真下に身を挺して攻め入ったと思いきやその刹那に身を躱すと同時に居合抜きの技が相手の胴を切り裂いていた。


瞬時の勝負でした。


佐之助は居合の達人でありまさに捨身の技で横一文字に仕留めたのです。


 


金曜日のわたしの稽古は身もこころも佐之助に成り切っていた。


胸中は兎も角、右足を庇うところだけはよく似ているではないか。


今以ってわらびしい限りです。


技前は佐之助には遠く及びません、仲代達矢の立ち回りは大したものです。


胸がぞくぞくする、藤沢作品は凄い。