老いのひとこと

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   無断掲載

テレビで「椿三十郎」をみた。

むかし何度かみたが何度みても鮮烈たる新鮮味がいや増す。

さすが黒沢作品、三船仲代の名優の名演技には舌を巻く。

何んと云ってもラストシーンが圧巻です。

目にも止まらぬ居合の早業、鮮血吹き出し勝負は一瞬で決す。

両者、近間も近間まさに至近距離にて対峙する。

懐手を解き両者互いに息の根の止め合いに半眼の目で相手の心中を探り合い熾烈なる気攻めが延々と続く。

先を取って仲代の右手が柄にゆき真向に振り被らんと刀身を抜きまさに鞘離れしたと同時に胸部よりどす黒い血潮が噴き出し瞬時に事切れた。

三船の居合抜きが速かった、三船は後の先にて勝を制した。

余りの早業でわたしの視力が付いてはゆかない。

動画をユーチューブで探し能くよく観察してもそれでも判らない。

漸く静止画像から概要を掴み得た。

三船は敵刃を予見するや体を左へ捌きつつ右手親指の背で鯉口を切り鞘を反転し左手で刀を抜き逆袈裟斬りで水月を突き斬り大動脈を切断した。

 

・その折には尖先の威力が増すように刀の峰に右手を添えて撥ね上げたのだろう。

・尖先の動きは一尺もない、最短距離で急所を直撃したのだろう。

・咄嗟の判断で体が自然に動いたのだろう。

・むかしの剣客のなせる業だったのだろう。

・映画と云うフイクションの世界だから成り立つ技前だったのだろう。

・映画俳優三船敏郎ゆえに彼独自で編み出した新手の技だったのだろう。

 

恥ずかしながらわれ人知れず試みれば右の手の鞘引き動作を的確に為さねば左手だけでは抜けぬことを知った。

それも真上へ抜かねば勝負にならぬことを知った。