老いのひとこと

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仰々しく語るほどでもなかろうにそんなちっぽけなハプニングがどうしたと云うのだ。

冬枯れひふ枯れネタ枯れの類でどう仕様もなかろう。

竹刀を交え形を打ち終えお開きとなった後残務整理ではないが今少しおのれに残業をば課するのです。

其の日は殊更疲れていた訳ではなかったが小さな失敗を仕出かした。

十本目四方切りを試みるべく前へ進みで右前方の敵の右こぶしを柄頭で打ち砕き、次いで左手で鞘引きしながら刀を抜いて棟の部位を我が胸板に沿わさんと致せば其の刹那ヒリッと痛みが走った。

中断し目を注げば豆粒ほどの血玉が少し膨れ上がり人差し指と中指の隙間に流れ出る。

しかし極めて軽微で出血も左程ではない。

タオルで拭き血も止まったので最後まで続行し終えた。

ねっとりした血糊の感触を少々味わいながら木剣を握り法定の形も無事打ち終えた。

対人稽古の剣道は無声に徹するが法定の独り稽古は有らん限りの有声に変ずることが適うのが何よりだ。

鯉口を離れた尖先がチョイと甲に触れてゆきおったわい。

手元が狂ったと云え慎重さを欠きました反省致さねばなりません。

 

刀傷は治癒が速い、翌日には何事もなかったようにけろりと治った。