法定の事=右轉左轉 その3
足早に秋の季節は移り行くように打太刀の変化の技に仕太刀は遅速なく応じ返さなければならない。
打太刀、仕太刀共に阿吽の呼吸で一糸乱れず演武しなければならない。
17-1 打太刀は切り結んだまま後ろに退いた左足を前に進めて右足に揃え閉足直立正眼の構えとなす。
17-2 仕太刀も打太刀に準じて左足を前に進めて右足に揃え同じく閉足直立正眼の構えとなる。
18-1 打太刀は切り結んだ木剣の縁を切らさずに気合を込めた気勢で左足を大きく一歩踏み出す。
その折に「うん」と息を吐きつつ発声す。
18-2 仕太刀は打太刀の動きに準じて右足を大きく一歩退く。
その折には「あー」の気合で以って息を吸う。
19-1 打太刀は依然として木剣の縁を切ることなく右足を大股で一歩踏み出す。
その折には「うん」の気合で息を吐く。
19-2 仕太刀は遅速なくそれに準じて左足を大きく一歩退く。
その折には「あー」の気合で息を吸う。
20-1 打太刀は三度目の送体で左足を大きく一歩踏み出す。
「うん」の発声で気合を入れる。
20-2 仕太刀は打太刀に準じて右足を大股で退く。
「あー」の気合を入れる。
21-1,2共
打太刀、仕太刀共に木剣を切り結んだまま前の足に後ろの足を進めて再び閉足直立正眼の構えと相成る。
22-1,2共
打太刀は下半円を演ずる。
仕太刀は遅速なく打太刀に準じる。
23-1,2共
打太刀、仕太刀共に右前斜の構えとなる。
24-1 打太刀は仕太刀を元の位置まで送り打太刀も元の立ち合いの位置まで戻る。
25-1,2共
打太刀、仕太刀共に右前斜の構えを解いて閉足直立正眼の構えとなる。
その折には共に左手掌に木剣の柄頭を押し付けぐるりと回転させ正眼の構えに変ずる。 終
【既述分】
1 打太刀、仕太刀共に閉足直立正眼の構えになる
2 両者共に木剣を垂直に立てて暫し停止する。
3 次いで、剣尖を左に右手で木剣を水平に掲げ左手親指人差し指の間で支える。
4 おもむろに両手を頭上真上に掲げ併せて閉足両足の踵を浮かせて背伸びする。
5 次いで、剣尖で大きな弧を描きながら宇宙の鋭気を吸気と共に丹田に収める気勢で両腕を肩の高さまで開き左手人差し指は大地を指す。
と同時に両の足を左右と肩幅ほど踏み出す
此れ上半円という。
6 上半円を演じてからおもむろに剣尖を左に向け木剣を水平に右拳を額の前方にして翳 ( かざ )し、そして開いた足を左右と前方に踏み出し閉足となる。
1~6の動作は打太刀が打ち起こし仕太刀は遅速なくこれに従って行う。
7-1(打太刀)は閉足翳 ( かげ )の姿勢から「エイ」の掛け声と共に行き成り右斜の姿勢に変化する。
7-2(仕太刀)は打太刀に応じて閉足翳の姿勢から「エイ」の掛け声と共に急いで正眼の構えに変化する。
8-1は右斜の構えから迅速に正上段の姿勢へ変化す。
8-2は正眼の構えから打太刀に応じて遅速なく右斜の構えへ変化する。
9-1は閉足正上段の構えから左足を大きく踏み出し左上段の姿勢となり仕太刀の動きに応じて左足を大きく退いて「ヤエー」の掛け声と共に正面を打つ。
9-2は閉足右斜の構えから左足を大きく踏み出し攻めの気勢から更に右足を一歩踏み込んで「ヤエー」の掛け声で正面を打ち両者は切り結ぶ。
10-1(打太刀)2(仕太刀)共に切り結んだ後共に左一重身の姿勢から「ウーン」の発声で一歩出て右肩より体当たりに行く。
なお、一重身となるには打太刀は左足に右足を引き付け仕太刀は右足に左足を引き寄せる。
刃を真横にして左に向け右手親指と人差し指で木剣の峯を挟み両脇を締める。
11-1は一重身で体当たりの後は右足左足の順で後ろに開き左上段の姿勢となる。
11-2は体当たりの後は左足右足の順で後ろに開き左上段となる。
12-1(打太刀)は左上段より左足を大きく後ろへ退きながら「ヤエー」の発声で正面を打つ。
12-2(仕太刀)はこれに応じて左上段より右足を大きく出して「ヤエー」の発声にて正面を打つ。
13-1は左足を斜め前へ踏み出し腰を据え木剣を水平に掲げる。
その折には両脇締め右掌上に右肘は体側に引き付け左手甲を上に確と柄頭を握る。
13-2も左足を斜め前に踏み出し充分に腰を据えて正上段より打太刀木剣の物打ちの部分を「ヤエー」と打ち砕く。
14-1は左の手の内を緩め右の親指人差し指の間で衝撃を緩和致せば剣尖は垂直に打ち落とされる。
此の時仕太刀の掛声に合わせて打太刀も「ヤエー」の発声で応ずる。
14-2は真向真下に打ち下すやその反動で右の膝を大きく真上へ跳ね上げる。
15-1は垂直に打ち落とされた剣尖を仕太刀の右目に付けて同時に右足を左足の前まで送って左霞となるや次いで左拳を頭上高くに掲げて剣尖を右の方へ大きく回転させてそのまま右足を後ろへ大きく退いて正面裏打ちに行く。
此の時「トー」の発声が伴う。
15-2は跳ね上げた右足を左足の前まで踏み出しながら剣尖を打太刀の右目に付けて左霞となるや次いで左の拳を頭上高くに掲げながら剣尖を右より大きく回転させ逆八相より右足を軸に左足を大きく攻め込み正面裏打ちに入る。
打太刀同様「トー」の発声を入れる。
16-1は裏打ちに切り結んだ木剣を静かに上段にかぶり機を見て左足を大きく後ろに退きながら「ヤエー」と共に正面を打つ。
16-2も打太刀同様におもむろに木剣を上段に移して打太刀の動きに応じて遅速なく右足を大きく攻め込み「ヤエー」で正面で切り結ぶ。