法定の事≪12≫

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法定の事=長短一味 その3


 


足切・足留から霞の構えに変化する。


それらの技は古流剣術の中にしか生き残ってはいない。


竹刀剣道はもとより剣道形にもその片鱗も面影すら何らとどめててはいない。


斯くなる古流の内実を極めることなく只々表面面 ( ひょうめんつら )を捏ね回しても詮無いことに違いない。


身の程知らずの未熟者が古流剣術のその最たる直心影流「法定の形」を独学独習し本当の表面面をほんの少しだけ ( かじ )ってみたに過ぎない。


僭越極まりなきことご容赦あれ。


 


16-打太刀は


閉足諸手上段から左足を大きく踏み出しながら仕太刀の右足切に行き、踏み込んだ左足に右足を引き寄せながら左単身 ( ひとえみ )の姿勢となり木剣は目の高さにして


水平に構え仕太刀の左目を狙う。


此れ霞の構えという。


16-仕太刀は


閉足中段の構えから右足を大きく後ろに退きながら


木剣を下ろし足切の太刀を鎬で受ける。


受けるや否や退いた右足に左足を引き寄せ直ちに左単身の姿勢となり木剣は目の高さにして水平に構え剣尖で打太刀の左目を狙う。


17-打太刀、仕太刀共に


左単身の霞の構えから左足を進めて左足に右足を添え互いに相手の左目を突き刺す気勢で接近する。


18-打太刀は


打太刀は右足を大きく後ろに退いて木剣は上段に構える。


18-仕太刀は


仕太刀も同様に右足を大きく後ろに退いて左上段に構える。


19-打太刀は


打太刀は左上段の構えから仕太刀の打ち込みに応じて左足を大股に後ろに退くと同時に「ヤエー」の発声で正面を打つ。


19-仕太刀は


仕太刀は左上段の構えから機を見て右足を大きく前へ送りながら「ヤエー」の掛け声と共に正面を打つ。


20-打太刀は


打太刀は切り結んだ太刀のまま左足を踏み出し直立閉足相正眼となる。


20-仕太刀は


仕太刀は打太刀に応じて遅速なく右足を退き直立閉足相正眼の姿勢となる。


21-打太刀は


打太刀は相正眼のまま縁切らずに「ウン」の気勢で


左足、右足、左足と三歩前へ進んで仕太刀を送る。


21-仕太刀は


仕太刀は相正眼のまま太刀縁切らずに「アー」の気勢を込めて右足、左足、右足と三歩後ろへ体を退く。


22-打太刀は


打太刀は右足踏み出し両足揃え直立相正眼となる。


22-仕太刀は


仕太刀は此れに応じ遅速なく左足を引き揃え直立相正眼に付ける。


23-打太刀、仕太刀共に


下半円を演ずる。


24-打太刀、仕太刀共に


下半円を演じ終えれば互いに直立閉足相上段となり静かに相正眼にて構える。


25-打太刀は


打太刀は心身を整え交刃の縁切らずに左足、右足、左足と三歩前へ進み仕太刀を送る。


25-仕太刀は


仕太刀は此れに応じ遅速なく右足、左足、右足と三歩後ろへ体を退いて元の位置にて直立閉足相正眼の構えとなる。


26-打太刀は


打太刀は仕太刀を送れば徐に右足より体を退いて元の九歩の間合いの位置まで戻り直立閉足相正眼の姿勢となる。


27-打太刀、仕太刀共に


閉足の爪先を90度開くと同時に剣刃を左の方へ向け、左掌で下腹部を押さえつつ徐に蹲踞する。


右手の木剣は音もなく静かに床に置き指先を伸ばし


柄を擦るように柄頭まで送り掌で下腹部を押さえる。


徐に立ち上がり開いた爪先を合わせ、次いで左足を右足の右前方に移動させ併せて左足も移動させる。


そして、静かに正座の姿勢となり深々とお互いの座礼を交わす。


座礼の後は膝頭を揃え左手で木剣を持って腰に取り


立ち上がり体を左へ移しお互いに正対しもう一度立礼を交わす。              


28-上座に礼