老いのひとこと

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鶴来道場の稽古納めの日は少し早めに出立し居合いを抜いた。

偶々道場の中央には空手の連中が鋭意稽古中で彼らの気合が終始轟き渡った。

決して気が散り集中心を欠いたとは申したくはない。

七本目の三方切を終えた折、何となく左の手の内がぬるぬるする。

手元に目をやれば案の定出血だ。

鮮血がしたたり落ちるかと見れば差ほどでもない至って軽微なようだ。

何せ痛くも痒くもない、出血箇所を探すがそれがない。

親指の腹に裂け目らしい部分があるので水道水で激しく洗うが沁みることがない。

管理人さんから傷バンを頂き其処に宛がい防具を着装し何時も通りの稽古を終えた。

稽古納めと心して入念に執り行った。

小手を外し患部を見るが既に止血したようだ大事に至らず安堵した。

帰宅後指サックを施し風呂に入ったが湯槽には浸けぬように気を遣った。

入浴後消毒のためサビオを取れば何んと親指の爪元に血が滲む。

先ほどの箇所は全くの無傷、恐れ入りました。

傷バンを張り替え就寝前にもう一度消毒しようと絆創膏を取れば何んと驚くなかれもう一か所親指の腹に出血跡を見付けた。 

念のため化膿止めを塗ったので傷は直ぐに治ったようだ。

又しても人騒がせな珍事を仕出かしたものだ。

納刀には自信があったがそれが返ってアダとなった。

鯉口を塞ぐ左親指の背と腹の二か所をご丁寧にも切っ先でチクリチクリと二度刺していた。

幾ら考えても原因がわたしには思い当たらない。

 

そういえば其の当日の午前にタイヤ交換を自ら遣った。

体力を酷使した、取り分け持病の腰部を随分と痛めつけたは間違いない。

しかし言い訳をしても始まらない弁解はしたくない。

弁解をしていけない。

慢心からの気の弛みが手元を狂わせてしまった。

此れが一番よろしくない。