老いのひとこと

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金曜日は居合の日、いつもの体育館へ出向けば今日はテニス教室が入り使えない。


暫しベンチに身を置きあれこれ居合に思いを巡らす。


刀を握ってかれこれ60年の歳月が流れたが相も変らぬ単なる下手の横好きに過ぎない我が身を振り返り思いを致す。


鯉口を切り柄頭で相手を牽制しつつ序破急を念頭に鞘離れ的確に横一文字に相手眉間を切り裂く。


その時ふと思った。


此れは如何に正義の剣であっても明らかに殺戮行為ではなかろうか。


言うなれば針谷夕雲が云う畜生剣法に他ならないではないか。


いや待てよ、居合の真意は「鞘の内」にあると聞くではないか。


抜いてしまえば全てが終わってしまう。


業前が秀で然も人間形成ができた人物ならば抜かずして勝敗が決まる。


初発刀の抜き付けが成立しない、抜かずして勝敗が決する。


誰しもみながシャッポを脱いでしまう。


これぞ居合の極意ではないか。


言うなれば此れ「相抜け」であり、山岡鉄舟の一刀正傳無刀流の「心の剣」ではあるまいか。


 


 


鉄舟曰く


「心で以って心を打つ


心で相手の心を打つ


心が刀であり


心以外に刀なるものはない」


刀がなければ無刀流と相成ろう。


 


またしても好からぬ白昼夢を見る。