無断掲載
図らずもと云おうか案の定と云うべきか西村英久選手には二連覇を掛けて片や一方の内村良一選手には雪辱を晴らす決戦になった。
処が実にあっけなく小手技を連取した西村選手が三度目の日本一に輝き賜杯を手にした。
天晴れと云うしかない大きなプレッシャーを見事克服した其の逞しき精神力には頭が下がります。
ただ此の老輩は心ならずも少なからず苦言を呈さざるを得ない。
先ずは優勝インタビューで開口一番「率直嬉しいです」と口を滑らした。
少なくとも二回口にした。
野球や卓球ならいざ知らず剣道では禁句です。
剣道では考えられない失言である。
戦った内村選手は小手をもぎ取られ悶え苦しんでいる面技なら既に昇天している。
其れを目の前にして嬉しいとは何事か。
そりゃ嬉しいに決まっているがそれを口にしたらならないのです。
剣道が剣道でなくなってチャンバラに落魄れてしまうのです。
「礼に始まり礼に終わる」とは如何なる意味なのか。
面を外し互いの礼をする形式的な礼だけで済むはずがない。
古から剣に携わる多くの古人たちが培ってきた「剣の五徳」取り分け「廉恥」とか「謙譲」の徳目は何処へいってしまったのか実に寂しい。
剣道はパワーとスピードだけで勝ち負けを競い合う競技スポーツではないはずです。
剣道は武道であることを今一度立ち止まって再考すべきじゃあるまいか。
改めて西村英久選手連覇おめでとう貴殿が実力者ゆえに辛辣なことを申したおゆるしを乞う。
此の事には解説者は一切口を挟まなかった。