老いのひとこと

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茶筒抹茶入れを想定して作ってはみるが思ったより容易くはない。
 容器と蓋が寸分狂いなく密閉状態になるように仕上げることはほとんど不可能に近い。
 好い加減な手作業で適当な素人勘なのでぴったり行くはずがないのです。
 その上焼成時には縮小いたすのであれば猶の事精密なコンピューター制御でもない限り百パーセント無理に決まっている。
 それでも、わたしは無理を承知で敢えて挑戦を試みるのです。
正月休みに入るので仕掛品を自宅に持ち帰り炬燵に足を突っ込みながらの作業続行と相成った。
 幸い濡れタオルに巻き置いたので本体の弾力は充分ある。
鋭利な金属製の箆で以って入念に丹念に余分な箇所を削ぎ落し始めました。
 轆轤などあろうはずがない、片手に持って太陽光線に宛がえば陰影が浮かび出て作業しやすい事が分かる。
 ガラス越しの陽射しの下で充実した没我の境地を
一介の芸術家気取りで以って体得したのです。
 此の慌ただしい年の瀬に悠長にものんびりとした至福の一時を持ち得たことになる。
 家内だけは慌ただしく御節の準備に立ち振る舞っていた。
 ことさら他言もなく見過ごしてくれたようだ。