老いのひとこと

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鶴来道場の帰り際に月橋交差点脇にある九谷焼工房「今昔」なるお店を覗いてみた。


とても人の好さそうな御主人が応対してくれた。


冷やかし同然に店内を見ていたら刷りたての真新しいカタログを差し出してまた御賢答頂きたいとプレゼントされた。


上質紙275ページ立ての冊子で素敵な作品を見るだけで十分に目の保養になり得る。


名に旧る著名な人間国宝級の名品も掲載されている。


当店は寺井の方で焼かれた素地に娘と嫁が絵付けをし焼成窯で焼いているのだという。


焼かれた作品の販路開拓に私は全国を股に掛けて渡り歩いていますよと笑っていられた。


戦前までは此の鶴来の月橋一帯には九谷の窯元が数軒もあって隆盛を極めたのだと当時を懐かしんでいられた。


その月橋窯で焼かれた陶土は鳥越村の服部鉱山で精製されたのだと非常に興味深いお話しも窺がったのです。


それで早速にも昼飯を摂ってから鳥越の服部鉱山なる箇所へ目指してみることにしたのです。


地図によれば白山市河合町地内にある、よく整備された道路なのでオンボロ車でもよく走るではないか。


バス停に屯するお人に尋ねてみれば服部鉱山はとっくの昔に閉山されたままで今は廃墟だという。


ただ、もう一つ河合地内には河合鉱山なる現役の山が在るのだとそこを案内してくれた。


四十代と思しき若き社長さん直々に応対為され執務室のソファーに導き入れられた。


手短に用件を話すと賢明そうな社長さんは当社は磁器の原料であるロウ石を採掘しているのでお目当ての陶土とは全くの無関係だと先を越されて解説なされたのです。


バスケのボールほどの原石を提示され詳しい説明も戴いた。


嘗ては「ノリタケ」社とも取引契約もあったが今はないのだという。


現在はもっぱら「TOTO」とか「イナックス」社との取引に代わったのだとおっしゃる。


ご親切にも採掘現場へ案内もすると云われたが相当急峻な山道と聞いたのでご辞退申した次第なのです。


帰り際にはお土産と云ってロウ石の砕石を少々戴いてしまった。


乳鉢で粉砕し何かしら磁器の作品に仕上がったら別の機会に此処当社まで見せに来てくださいと云われてしまった。


工学博士の肩書を持つ若きオーナーさんはとても気さくで親切な素晴らしいお方でありました。