老いのひとこと

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土鈴、三作目も思うようにはいかなかった。
あがた森魚さんの赤色江レジに綾香って幸子の名前を拝借させていただくことにした。
何処となく薄幸の身の上を漂わせる幸子の名前に因んで此の土鈴にも幸子の名前を付けさせて戴くことにした。
よわい八十路の作り手が土捏ねて手塩にかけにし土鈴とて可愛くないはずがない。
ところが、胎内に埋めし玉が胎内で熔解し固着し玉玉に非ずして鈴の音鳴らず石女 ( うまずめ )と化す。
不憫なる幸子を我呼んで幸子の幸は何処にある男作り手ままならずと嘆き悲しむ。
生あるうちに四作目に挑むべく幸子を宥めたり。
 
 
土鈴は土鈴とて何になる
男作り手土捏ねて
幸子の土鈴は何処にいる
男作り手ままならず
よわい八十路の老いの手に
土鈴は土鈴の鈴鳴らず