老いのひとこと

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思い過ぎです、取り越し苦労をいたせば頭が剝げますよ、いやもう既にハゲていますがね。


 


旧海軍の軍刀仕込みの赤錆著しい脇差を一本を所持していた。


未登録だったので最寄りの警察署へ発見届けに赴きました。


 


刃毀れこそあったが砥ぎに出し美術刀に再生し余の形見と致すべく願い出たわけですが意外や意外担当官のお方からいろいろ四方八方から長い時間尋問をお受けいたしました。


こじんまりとした取調室に留め置かれ入れ替われ立ち替わり大勢の方々から質問を受けました。


その内にだんだんと判って来た事は此の刀を不法所持していたかどでわたくしの刀を没収いたすという事でした。


いや待ってください、それだけはご勘弁願いますと何度こそ執拗に懇願いたしましたことか、でも銃刀法違反者に烙印を押されたまま何ら反論の余地は有りませんでした。


権力の前には年老いし一個人は余りにも非力でした無力を嘆きました。


今から思えば、あの際に素直に没収に応ずることなく幾度も執拗に抵抗を試みたわたくしの態度は当局には好ましからざる人物としてリストアップされてに違いない。


名前も住所も年齢も何もかもが調書に記録されてしまいました。


 


オリンピックもだんだん近付いてきました。


若しや万が一にも銃刀法に関わる何か重大な出来事が起きればそのリストから拾い上げられて照合されても全く不思議ではない。


メールやブログにまで手が伸びるかも知れないという。


 


在りもしないことにびくびく怯えることは常軌に逸する、馬鹿げていて今様の社会には馴染まない。


確かに在ってはならぬことだがそれがなぜか知らぬが戦中派人間には不気味な予兆として薄ぼんやりと見え隠れするのです。


 


何もかも忘れて素っ裸になって断崖絶壁から青い深海めがけて思い切りよく飛び込む変な夢を見るようになった。


歴史は繰り返さないという言葉は聞いたことがない・