老いのひとこと

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近江町市場にある割烹「市の蔵」にて野田中の葵会のメンバーが集まりました。


いつもの九名が今年は八名に減ってしまい些かどころか至って残念至極、みな嘆きました。


お決まりの病歴武勇伝やお薬の品評会はみなさん心得たもので上手に敬遠なされます。


手柄話や自慢話は以って他、あまり感心しないことはみなさんよくよく御存じのようです。


ところが、とても面白い手柄話のような自慢話を聞かされて腹の底から笑いこけてしまいました。


悪ガキどもの大将格の彼は敗戦前後のころよく兼六園の霞ヶ池で白昼堂々と真鯉を釣って遊んだと語るのです。


その手口は釣竿なしに大きい風呂敷を広げ


真ん中に穴をあけて釣り針に八田ミミズをぶら下げて沈めて喰いを待つのだという。


獲物がかかれば風呂敷を引き寄せ手繰り寄せて静かに引き上げればバタバタ暴れることなく仕留められたと語るのです。


もう一つ、柿泥棒の絶妙の手口を披露された。


上着とズボンのポケットに持てる限りの石ころを詰め込んでワルたちはお目当ての家の垣根越しからみな一斉にお庭に石ころを投げ込めば「コラッ誰ダ!」のお声が入れば其処はダメ。


お声がなけばみな一斉に獲物を仕留めるのだと惚気るのです。


日頃あまり笑う機会の乏しいわたくしは大声を出して一生懸命笑わせて戴きました。


貧しかったがみな大らかだった往時を懐かしく思い返す素敵な一時でした。