老いのひとこと

イメージ 1



湧きいずる闘志が( みなぎ)る。


若さ溢れんばかりの情熱が漲る。


ぐい呑みに満々と漲る能登の生一本「( ちょう)」を一気に呑み干す。


さすがに甘かろうと思召( おぼしめ)すにところが全くと云ってくらい美味くない不味い味も素っ気もない。


急に水臭い味に品変わりしてしまった。


つい先日の町内挙げての夏の宴会で残り酒を失敬した。


戦利品として掠め取ったわけではない。


他人の物を秘かに隠匿したわけでもない。


後ろめたさはなく堂々と各位に断りを入れた筈ではあったが家にて味見致せばとにかく不味いったらないのです。


一夜にして酔いざめと共にお酒まで変質してしまった。


やはり、アンフェアであった( いや)しさの ( とが )めがあったのでしょう。


酒神を( ないがしろ) ( あなど )っては ( まか )りならんことを知らされた


早速、清酒専門店より同じ銘柄を買い受け町会長さん宅の玄関先にでんと置いてきたのです。


町会長さんを説得するには労を要したが何とかして年寄りの我が儘を聞き入れて貰いました。


新年会まで常温保管が効くことも念を押してきた。


さあ、此れにて今宵はまた美酒が蘇える。