老いのひとこと

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ある雨の日の朝方のこと、部屋でのラジオ体操を終え間もなくして突然異様な衝突音を耳にする。


台所で仕事中の家内が又しても派手に遣りおったわいと覗けば今の音は何事かと素っ頓狂に叫ぶ。


此処ではない、外かと玄関まで行けば何と一幅の水彩画が額縁諸共落下し粉々に散乱している。


道理であの衝撃音になろう。


やはり紐が切れたか、三十数年間湿気多い北国の気象条件のなか劣化が進んだのだろう。


何の前触れ兆候もなく音もなく静かに事消える。


此れが可能なら肖ってもいいじゃないか。


脳に通じる主要な血管が何の前触れもなく静かに切れて全てが終わる。


何の躊躇いもなくそんなことを考えながらガラスの破片の後始末をしながらぶち切れした紐をよく見れば何のことはない紐は無傷ではないか。


ケプラー繊維のようには見えぬが結構丈夫そう。


原因は止め金具の破損であることに気付いた。


割れたカラス破片の中から破損した金具の一部分を捜し出しました。


呆れるほどの暇人がいたものです。


因みに此の一幅の絵の主は一水会の端名清画伯であり故郷珠洲の漁港をスケッチした秀作なのです。


追って修復し我が画廊の一角にお目見えいたしたさねばなりません。