老いのひとこと

イメージ 1



鶴来線の馬替駅のすぐ近くに真新しい植木鉢が放置されている。


素焼きの小鉢だが中には小振りな盆栽鉢もある。


恐らくご近所の愛好家が此の空き地に一時預かりさせて貰っているのでしょう。


然程気にも留めずに見過ごしてはいたが日数の経過と共にこころなしか数が少なくなっていなくもない。


とある日の事、待機中の見守り隊のおばさんたちに出くわしたのでこれ幸いと尋ねてみた。


すると意外なことに此れらは所有者のお方のご好意で御入用ならご自由にお持ち帰りくださいと言う意味合いらしいことを知らされた。


付け足すようにその御方はもう既にお亡くなりになりましたとおっしゃる。


成る程、斯くもご奇特な御方の心尽くし品々だったのか自ずと頭が下がる想いで敬意を表したのです。


御本人の意思がご家族に伝わっていたのでしょう。


何んとなくほんのりした人情が辺りに漂うではないか。


聞いた以上何か貰わないわけには行かない。


毛色の違うのを一鉢いただきました。


そうだ、わたしもあやかろう此のアイデアをいただこうとこころに決めた。


此の方同様わたしも未使用の植木鉢なら所持しよう。


また積読癖のわたしには書架にうず高く古本が眠る。


「ご自由にお持ちかえり下さい」と立て看板を建てよう。


早いうちに作っておこう。


いや待てよ、善は急げというではないか。


看板倒れにならぬよう今のうちにやってみようか面白かろう。