故意に予約キャンセルを買って出たわけではない。
曜日を勘違いしたばっかりに豪い目にあってしまった。
口が開かない食事が摂れない最悪の事態に陥れど病院はわたしを受け付けてはくれなかった。
何をしても冴えない陰鬱だ、針のように尖った鋭利な牙がわたしの口内の柔肌を刺激し出血を漱( すす)ごうとうがいを試みるがそれも敵わぬ。
水を含んで吐き出すだけだ。
此れすべて予約キャンセルの天罰なりと観念し苦痛に耐え抜いた最終日の夜食に重湯を啜っていたら我が舌の辺りに何かしら固形物が現われたではないか。
吐き出す前にそれが治療歯の残骸物であることに気付いた、〆たと思った。
図らずも自然治癒ではなく自然脱落を来たして呉れたのです。
地獄の苛みから今漸く解放されました。
翌朝一番に赴き歯医者さんには何事も告げずに虫歯の治療は今此処に無事完了したのです。
やれやれ、これにて年越しが出来そう。