中旬も過ぎれば春本番の到来、耕作意欲もようやく目覚める。
錆びついた腰を持ち上げて先ずは除草作業の開始だ。
しゃがみ込んで小まめに毟り取る悠長なことは性分がら此のわたしにはできない。
三角鍬で地表を掻っ攫う、農耕神は顔を顰めて居られるが一向に構わず此処に不埒な奴がいたものだ。
楽をした心算だがどうしてどうして此れ容易くはない。
かばった筈の腰が無性に張り凝って痛い疼きはじめるが辞めるわけには参りません。
此れぞ天与の試練なりと其れでも性根を込めて精を出す。
作り笑いでその場を凌ぎ天を仰いで息を継ぐ。