わたし好みの峠越えサイクリングコースの一角にコスモス街道がある。
高橋川の川沿いの歩道に凡そ一町ばかりの区間にコスモスの花が乱舞するのです。
花を盗っても罪にはならんとは云えさすがに此の花は盗り辛かろう。
ひときわ可憐な此の花を手込めにするようなことをどうして出来ようぞ。
出来はしないのです。
此の花を加護する天与の神々の思し召しがあるように思えるのです。
その日は、花終えし淋しき姿を不憫に思ってか近隣の有志が集って跡地を整地なされる。
遠巻きに「種を頂けませんか」とそっと声を掛ければ「どうぞどうぞ、ご自由に」と心地よい応答が返ってきたではないか。