老いのひとこと

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畑の土塊を木っ端微塵に粉砕するには矢張り耕運機が威力を発揮いたそうが此のわたしには無縁であり如何ともし難い。

処が意外にも木っ端微塵の粉砕劇を目の当たりにしてしまった。

秋の味覚の王様のようなウマソイ丹波栗をフライパンに入れ鍋蓋を閉めて焼き栗を試してみた。

弱火にして暫し場を離れ何分ほど経過したものだろうか突然、閑居の我が家の台所から相当ものすごい爆発音が轟いた。

わたしは直ぐに気付いたが座敷の家内は至って仰々しく駆け込んで何事が起ったかと目を白黒させる。

鍋蓋が吹っ飛んで床に落下し焼き栗どころではないまさに木っ端微塵に粉砕されまるでオボロかデンブのような形状で辺り一面に散乱したではないか。

三個の内の一個の破裂だった。

何を思ったかわたしは三個に留まって何よりだった。

若しや三個同時に破裂すればガラス戸を突き破ったかもしれない。

何よりも家内が炊事中でなくて良かった。

また三個でなく十個も入れずに済んで助かった。

笑いものの種とならずに済んで何よりだ。

ただオボロと化した焼き栗の味の乙なこと此れぞ秋の味覚の王者の味に違いない。