老いのひとこと

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定期検診に掛り付けの歯医者さんへ行く。

痛くもないのに歯医者へ行く。

若いころから此の定期検診の制度が在ればもっと健全な歯の持ち主になり得たことでしょう。

三度三度歯磨きをしていても歯石が生じ歯垢が溜まり歯周病へ繋がり歯が抜ける。

此の簡単な筋道に至らぬ先に専門医による歯のお掃除が欠かせないのだという。

鼻クソと耳クソは自分で穿り出せるが此のこびり付いた歯クソだけは特殊な掃除機で除去しなくてはならない。

水圧を懸けるらしいが仰向けの咽喉元に排液が溜まるが自動的に機器が吸い取って呉れる筈なのに今日は其の液体が思い切りよく気管の方へ流れ込んでしまった。

突然襲った呼吸困難に暫し息が止まった。

悶えるようにして噎び込んだ。

激しく噎びながらも間隙から生きる為の空気を本能的に吸い込んだのだろう。

咳込む背中を看護師さんが摩り抑え叩いてくれた。

幸い出血を見ることなく事なきを得た。

此の失態を此方から詫びる必要性はないと咄嗟に判断した。

先方からも何も言葉はなかった。

これも老化現象でしょうとの言葉もなかった。

何事もなかったかのように歯医者さんを跡にした。