老いのひとこと⑬

f:id:takaotm1101101:20200415070547j:plain

些か衝動的過ぎたのかも知れない。

事もあろうに唐突に半山君の墓をお守りしたい旨住職さんへ願い出てしまった。

処が住職さんからはとても好意的に接していただき丁度処遇に迷っていた矢先だったので返って当方が助かったと率直にものをおっしゃる。

と云うことは墓仕舞いに際し津田家御当主の口より半山君は本家筋の人物に付き当方らは関与したくないとはっきり突っぱねられたらしいのです。

だから野晒しにされた此の半山君は身寄り無き存在として檀家総代からも早晩倒壊し処分する提案が為された其の矢先だったらしい。

まさに渡りに船の言葉通り此の荘厳なる半山君の墓は不肖此のわたくしがお世話相致すことに相成った。

 

住職さんの証言に基づけば津田家御当主は半山君の管理権を放棄し放擲なされしは間違いないと念を押される。

だからクレームが後ろから追い駆けてくる懸念は有り得なことだという。

 

その場で何某かの墓地管理費を拝納させていただいた。

此の半山君の墓石は妙典寺の一角に凛として建ちつづけることになりました。

少なくとも此のわたくしの目の玉が黒い間は安泰だ。

しかし遅かれ早かれ此の世から姿を消す宿命を帯びよう。

依って若しや心ある歴史史家の目に留まり彼の今枝家との関わり深き此の津田半山の名を歴史に末永く止め置きたくも希う次第なのです。