老いのひとこと㉗

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母方津田家の墓地は墓仕舞いの憂き目をみて今はもうない。

ただ唯一難を逃れた半山の墓が奇跡的に生き延び今に生きる。

尤も此の半山と血縁在りしものは此の世には誰も居ないはずだ。

だから捨て去られ誰からも顧はみられる事無き無縁仏になって然るべき墓に相違ない。

つまりはお寺さんにすれば厄介なお荷物さんを抱え込んだに等しい状況下にあった。

由緒ある津田家の痕跡が此の世から葬り去られることは忍び難く此のわたしが手を挙げ名乗り出たのです。

先日、半山にお花を添えてから御住職さんに墓守の何某かをお布施紙に包んで差し出してきた。