老いのひとこと㊴

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二心があってのことでしょう。

五月の薫風に誘われて野田山へ足が

向いた。

ヒイじい様が芝山の地に営んだ孤塁の跡地は枯れ葉が敷き詰められ清閑とす。

暫し手を合わす。

梢のあちこちから野鳥の清澄なさえずりが響きわたる

右手の参道を十歩ほど上がれば石佛が鎮座する祠が在り此処でも暫し手を合わせた。

実に柔和な面立ちで迎えて呉れる時もあれば何んとも険悪な怖気立つ形相で見下ろされたりもする。

今日は慈愛に満ちた優しさが満面に溢れていた。

帰るに際し無数の佛からの贈り物に授かったのです。

少々時機を逸した所為か鬼アザミが化けてしまっていたが蕾と若芽の部分を手折って戴いた。

鋭利な棘は軍手を通して遠慮なしに突き刺したが今宵はアザミの新芽の天婦羅にあり付けそうだ。

これぞ天下一の絶品なり。