老いのひとこと

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ムダの山を築きムダの山に埋もれて息苦しい。

ムダを承知で性懲りもなくムダを繰り返す。

公の場へ顔を出す機会もなくなった。

スーツにネクタイは元より腕時計も最早用を足さなくなった。

時を知りたければスマホが在る。

柱時計もあるがこいつはダメだ只動いているだけで正確に時を刻む自分の任務を忘れてしまっている。

もう歳を取ると時計とは縁が遠くなって在っても無くてもどちらでもよくなったのだが不思議なものだ。

何処からともなく電池の切れた時計を探し出しご丁寧にも時計屋さん迄車を駆りだす始末ではないか。

秘蔵のダンヒルと普通のセイコーの電池の入れ替えと手巻きの金縁時計のベルトの取り換えに馴染みの駅前のお店まで危なかしいハンドルを握ってのお出掛けだ。

時計の電池の寿命と車のガス欠と御大の命の縁の切れ目とが互いに背比べをしている。

滑稽だ、独り吹き出す。