老いのひとこと

日頃お世話になる飯碗と汁碗は愛用の品と云うより生きていく上での必需品になる。

三つ口から最近は欲が出て四つ口に

増えてしまった玄米飯を飯碗に盛る。

そして、必ず調理される味噌汁を汁碗に注ぐのだが此処最近になって実に不可思議な現象に出くわすのです。

洗って伏せてあった筈の汁碗が濡れている、と云うより底の辺りに半透明な液体が現われる。

でも当初は全然気にもならずに汁を注ぎ入れていたが連日の現象に流石に気になり謎の液体を捨ててから其の味噌汁を別段気にもせずに賞味する。

その碗は勿論既製品で自作のものではない。

家内が嫁入りの際に持参したものだという。

由緒ある陶工の作とは無関係で在り来たりの作のようだ。

陶工に纏わるミステリアスな挿話など聞いたこともない。

 

少し気になったのでそっとネットで検索致せば直ぐに正解を得た。

 

酸化鉄を含んだ赤土陶土で焼いた茶碗類には吸水性があるのだという。

水分を吸い込んだ茶碗から液体が沁み出たにしても決して不思議ではない。

沁み出た其の液体の成分は酸化第2鉄=Fe203と第1鉄=Feoであり

毒性は全くないと解説される。

化学の素養なき者には多分に理解が苦しいが科学的に立証されたので判らぬなりに納得した。

 

とは言うものの釉薬を塗って焼成した陶器から液体が沁み出るとは理解し難い現象だ。

やはりミステリヤスな汁碗には違いない。