2022-05-17 老いのひとこと 礼を尊び重んじる武道、取り分け剣道には蹲踞の礼が欠かせない。 相手に敬意を表する礼には座礼・立礼・蹲踞の礼とあるが最近とみに蹲踞姿勢が執りづらくなった。 取り分け防具を着装すれば最早出来ないも同然、悲嘆に暮れる有り様にひたすらおのれの限界に涙する。 高が精々10キロの防具の重さに耐え切れない貧弱な脚力に落ちぶれてしまったものだ。 かと言って蹲踞を省くわけには参らず、その時は「失礼」と一喝し竹刀柄頭を床にして杖代わりに立ててご勘弁願う。 特に納めの礼は稽古疲れもあって尚のことし辛いのだ。 ものの本に依れば左膝を着床する女性方式や身を沈めず中腰のまま蹲踞の真似事をする挙動もあるらしいが此れほど相手に礼を失する態度はなかろうとわたしには馴染まないことになる。 幸い形稽古では何んとか蹲踞姿勢が適うのだが此れとてやがて瓦解するのも最早時間の問題となってしまったようだ。