老いのひとこと

もうとっくにきゅーりは終わった。

夏みずきが2本と四葉が1本から日々数多くの収穫に悲鳴を上げた。

朝獲りを逸すれば翌日には大化けし雨でも降ればオロチのような大蛇と化す。

本来なら廃棄するものを家内は厭わずアンカケにしたり殊更大量に出ればそれをせっせと塩漬けにする。

つまりは我が家特製の奈良漬けの材料に仕立てられ盆過ぎの此の時期には粕漬の旬のものが食膳を賑わす。

正式には2度漬けらしいが高価なる酒粕ゆえに年金の薄給受給者らしく一度漬けに甘んじ居る。

それで十分、実に美味いまさに珍味だ。

また親近者への贈答品として重宝されそうだ。

 

 

此の長期保存食は太古の奈良時代の木簡に粕漬の文字が記され、江戸時代には大和の国の奈良の街に住む漢方医が奈良漬けとして商品化したからなのだという。

 

奈良の文字を二つ戴いた贅沢な奈良漬けが令和時代の加賀の国の貧相なる民家にまで普及したことになる。