2022-10-21 老いのひとこと 縦状に大きな亀裂を来たしもはや瀕死の状態だが緊急の救命措置を施し出来得る限りの策を講じて置いた。 それにしても処置室に一人取り残して来た重傷者の様態が気になって仕方がない。 週が明けるのを待って病棟の呼び鈴を押して事由を告げ重篤の身柄を引き取り自宅へ持ち帰ったのです。 恐る恐る包帯を解けば外ヅラの痛々しい傷跡は如何ともし難いが幸い内面には外傷が見当たらず安堵する。 肩の荷がすっと下りゆくことを実感する。 早速底の部分の手直しと施しドべにて接着した。 包帯の取り換えこそなさなかったがしっかり締め直し治癒回復を願った。 その翌日、土がハッシャグにつれ内側にも隙間が生じ万事休すに至る。 落胆し其の上幼子のように悄気返るが執拗に蘇生術を探し求めるもう一人のわたくしが居た。 裂け目に水様に薄めたドべを筆先より垂らし吸引されるのを待って繰り返しドべ液を垂らし続けた。 九死に一生の奇蹟を信じて何度も繰り返した。