老いのひとこと

学童期の仇名は「キンタ」で通した。

貧弱なナリをしながら手が早く手当たり次第にケンカを売ったらしい。

周囲のものから囁かれたが我が身自身には余り身に覚えがない。

兎に角短気であったらしい。

此の性分だけは此の歳になってもどうも健在らしい。

此度は額四陶土と市販の粘土とのブレンド作業を至って気が短いので僅か5日間の突貫工事で完遂させた。

色つやも粘り気も申し分なく独り善がりに得心もした。

少しばかりの自信を覗かせながら先週の失敗作に再び挑んだ。

やおら慎重にたたらを四角に折り曲げとするが瞬時に亀裂が走りとてもじゃないが不可能に近いことを知った。

粘度が乏しいので無理だと判断し急遽円形に切り替えた。

其れでも無数の裂け目が現われ手の施しようがない。

幸い内づらには異状がないのを見届け直ちにドべを塗り接合し細い紐にて補強する。

そして下の方から応急の包帯を捲く、都合5本の包帯を鉢巻きを締めるように結わいだ。

強からず弱からず締め具合に全神経を尖らせた。

 

底の部分の貼り付けは難しかろうと今日は断念した。

取り敢えず其の底の部分の上に包帯姿の痛々しい本体を乗せ濡れたタオルを被せ作業を終えた。

格別のスリルを味わいながらの充実の一時を味わった。