下手糞老いぼれ剣士の夕雲考《4》

311大震災を与謝野大臣は神の仕業だと明言を吐いた。まさに同感だ。
神の逆鱗に触れたと言った方が正しい。
人間の傲慢さ、人間の飛びっきり優秀な頭脳で大自然の摂理をねじ伏せた其の傲慢さに対し神は怒り狂って人間の愚かさを諭し給うたのだ。
原発への絶対安全神話を卓越した頭脳で創り上げ、見事に国民は洗脳され信じ通した、此の過信がものの見事に崩れ去った。科学の敗北であり、絶対多数の敗北であり衆愚政治の敗北かもしれない。
自然に逆らうことの愚かさに気付き謙虚さを学ばねばならない。
満身創痍の菅直人総理大臣ではあるが、此の度の一連の訪欧サミット会議で日本国のみならず地球規模の未来像を見通す素晴らしき見解を自分の言葉で語らねばならない。
菅降ろしで躍起となり踊り狂う憐れなる国情に一矢を報いる快挙となるかもしれないと秘かに期待せざるを得ない。
あなたにとって生き延びる術はもうこれしかないと肝に銘じて事に臨まねばならないのですよ。菅さんよ。




でも菅さんよ、あなたは
日本国の先の先を見通す洞察眼と巨岩をも穿ち喝破するリーダーシップがあまりも薄弱であり脆弱すぎる。
野党時代の此の人は攻めの舌鋒鋭く切り込んだが、政権リーダーとしての資質として敵の砲撃を臨機応変に応じ返す力量を致命的に欠落させていた。
アドリブで対応すれば暴言失言累々と敷き並べ、挙句の果てには官僚作文の棒読みに終始する有様には幻滅また幻滅。
余りにも語彙が貧弱すぎるし、言葉に魂を見出せない。胸裏にずっしりと響く誠意も誠実さも伝わってこない。
クリーンでオープンな政党を標榜するのなら、何より先に金権政治家の亡者如きあの人物に、脅えることなく潔く訣別すべきではなかったのか。
それより先に、その当事者たるあの人物は真に正当な政治家を自負するのなら、この際無私的観点で自己犠牲の英断を為すべしと念ずる。
この人物が名たる武人であるのなら先見の目見開いて事態の展望を読み取らねばならないはずだ。
己自身が身を退き名を捨ててこそ、この人物が歴史の一ページに残り得る唯一のチャンスじゃなかろうかねえ。
処が醜聞の上塗りが伝えられた。検察審査会による強制起訴に対し党本部は、彼の人に党員資格停止の処分を下すやいなや相呼応するかの如く十六名の会派離脱者が現れたではないか。
恥の上塗り、一政務官が駄々を捏ねて退任した。なるほど、一人の謀略者が後ろで糸を引いているのだという。
亡国的政治家が出てしまったことはとても恥ずかしいことだ。
然れども、その政治家を選任したのが外でもない我ら日本国民なのだ。
日本国民は一人ひとり鏡に映る己の醜い面構えをしかと見届けねばなるまい。
菅直人首相に、オバマ流の無私的自己犠牲精神の発揚場面を期待するのも最早絶望的に陥ってしまった感を強める。
断末魔のもがきでもよいので、政権交代大義名分をなんとしてでも立て直してほしいものだ。
菅降ろしという名の夫婦喧嘩はもういやなのだ。たまらないよ。もう勘弁してくれよ。ねえ、お願いだよ。結局、
政権交代針ヶ谷夕雲とはかみ合うことなく無縁であった。さみしい。つづく