下手糞老いぼれ剣士の独り言《下》

復興相辞任の顛末記(その3)

柔和に映った松本龍前復興相は世の動向を肌で感じ取り逸早く態度を硬化させ急変された。
ところが、とんでもない方向へ舵を取ってしまった
新手の手法に転じたが、まさに新手は荒手に変じてしまった。
間違いなく被災民の心中に寄り添う発意の意気込みは誰よりも意気高く持ち合わせていたのでしょう。
 でも結果的には、余りにも被災民の心中を逆撫でするが如き
拙劣な言い回しで終わってしまいました。

 温厚で紳士然とした松本龍代議士をして、何ゆえあの種の悪口雑言を言わしめてしまったのか。
 心中穏やかならざる義憤が迸り出てしまった。そうとしか考えられまい。
 一瞬魔が差してしまった。
そのとき何があったのか。
長幼の序をわきまえろと言った。防大出ならなおのこととも言った。此の言語に尽きると思う。
 ニュースカメラは遅参した知事の表情を大写しで捉えていた。
いかなる言語が発せられたかは定かではないが、少なくとも其処には謙虚なる謙譲の心意は見出せなかった。
「 お待たせいたしました。」「遅れて相すみません。」の一語が何ゆえ素直に発することが無かったのか。
 国務大臣へ一礼する、たとえ虚礼と見られたにしろ遅参の侘びを頭子を下げることで表わそうとしなかったのか。
 むしろ、にこやかに笑みを漏らしつつ大臣へ握手を求めて詰め寄ったではないか・・・
 マスメデアと称するテレビもラジオも新聞も一切がそのような記事を書くことなく、松本さんはメデアリンチで一方的に叩きのめされ退任した。
 地方と国はあくまでも対等なのだという。それのみを強調する。
 唯一、松本龍辞任復興相を擁護したのが橋下徹大阪府知事であった。
 政治家は結果責任を取ればよし。復興に邁進し、栄誉ある東北復興・日本国復興に文字通り命を賭して粉骨砕身努力し果たし、それなりの成果を得たならば歴史に残る政治家になり得たはずだ。という意味合いだ。
 わたしが言いたいのは、あの際宮城県知事さんが遅刻を詫びて深々と頭を下げる仕草がテレビに放映されたならば、馬鹿ではあるまい松本さんとてあのような馬鹿げた放言をしようはずがない、ということを言いたいのです。
 日本国中の新聞とラジオとテレビに毒された憐れなる大方の日本人たちは、擁護した橋下知事をも扱き下ろしたのだという。
 松本龍前復興相は任命権者たる菅直人からも見放されたのですよ。何をかいわんやですよ。
 新復興相の平野達男さんよ、極めてやりがいのある政治家冥利に尽きる素晴らしい仕事なんですから、日本国復興のために全身全霊の力振り絞って一心不乱に成し遂げてください。