老いぼれへぼ剣士の独り言

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 先日海里にて遊ぶ。近藤兄の誘いに応じて能登路へと走る。
 「麦が浦」とはいかにもロマンを駆り立てる素敵な郷ではないか。
 内海のそのまた内に面した穴水湾の一角にある鄙びた集落、隆盛を極めた頃もあったであろうが、今は戸数壱拾余り家屋が海辺に寄り添っていた。
 とにかく、ひねもす静寂の真っ只中に取り巻かれた長閑なる風情、都会の喧騒を忘れのんびりするには此処ほど打つて付けな場所はなかろう。
 牡蠣養殖用の筏が所狭しと浮かぶ。いや応なしに、生活の匂いが水面を伝って届いて来たのである。
 
 お目当ては鰺であった。知る人ぞ知る、ご当地は全国的に名のある黒鯛釣りの穴場なのだという。
 でも、その鯛ではなく小鯵をねらった次第だ。
 
能登に来て  竿差す手元に  小あじかな
内海に  波静まりて  小あじ湧く
 
 対岸の岬にふと目をやると見慣れたような光景が視界に入る。
 今は亡き、端名清画伯の画材であった。若かりし頃は能くこのような情景をモチーフになされていたことに気付いた次第なのです。
 左中央の水平線上の遠き陸影は能登島とみる。当時はまだ牡蠣筏は見当たらない。
 珠洲出身の画伯はこよなく能登の海を愛された。