老いぼれ剣士の夕雲考《46》

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剣の道を窮めたわけでもなく実に生半可な覚束なき存在が、恐れ多くも『夕雲流剣術書』に挑戦を試みてしまった。
至らぬままに唯いたずらに年月を要してしまっている。
愈々本題に入るに際して、今少し針谷夕雲の人となりと小出切一雲の人となりについて記述するスペースを戴きたく存じます。
併せて、『夕雲流剣術書』が刊行に至る経緯についても付け加えたい。
 
 
『夕雲流剣術書』ーはじめに(1)
 
針谷夕雲のこと=その1
 
小出切一雲著
『夕雲流剣術書』
 
はじめに
 
1 針谷夕雲のこと
 
現代の剣客であり押しも押されもせぬ論客の第一人者であられる針谷夕雲研究家、甲野善紀氏の向こうを張る気はさらさらない。
勝負にならんことに挑んでみたとて意味がない。
徒労に終わるだけではなく、わが身が哀れだ。
そもそも私の観点は、学術的に針谷夕雲を究明し学究的に無住心剣を解明するところにはない。
古文書を解読する素養もなく、武術修行も実に生半可だ。
ただ、針谷夕雲を異端の武人と捉え、ど素人なりに此の人物の生きざまを現代の鏡に映しだして見たとき、徒ならぬ霊気を肌で感じ取りインスピレーションが全身を通り抜けた。