老いぼれの犬日記《8》

イメージ 1
 
8 愛犬リりの病魔
 
 とうとう再起不能に陥る。
 獣医さんの見立てによれば脳の腫瘍に伴う脳神経の疾患に間違いないという。
 突然おそう全身の麻痺は七転八倒の苦しみをわたしらの眼前で素直に表現する。
 断末魔の悲しき叫びに対し、何も為し得ないわたしらの非力に只々打ちひしがれるだけだ。
 薬物で病魔を抑えるだけ。
 医者に頼る以外何ら術はない。
 わたしは安楽死のための薬物注入を提案したが妻子や孫たちは猛烈に反対した。
 わたしも老犬の看病介護に老身を呈することを決意することにした。