老いぼれの弓事始め《11》

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 6月12日13回目(11回目)講座
 
 敷居をまたいで入場し、敷居をまたいで退場するまでの微に入り細を穿つ身の ( こな )し方が工程管理されている。
 前回のお ( さら )い事項の定着度は実に無惨としか言いようがない。
 八九割りかた忘却の彼方へすっ飛んでしまっている。
 またしても手を取り足を取っての手懐 ( てなず )けを受けて漸く引き分けから会に至り的を絞ろうと懸命に試みると的が幾重にもなって数個ばかり横一線に並ぶではないか。
 もう破れかぶれ弦から ( ゆがけ )を離してみれば、遠くで小気味の好い的中音が聞こえたではないか
 おもわず、ヤッターと右手を振り上げていた。
 残心もへったくれもない。
 
 まぐれであり僥倖に過ぎないが、あの的を射た瞬間これぞ本懐なり。
 云うに云われぬ快感を覚える。
 年甲斐もなくはしたない浅はかな行為に周りはしらかけてしまった。
 先生からは、そんな時こそ残心の気を十二分に示すことの大切さを篤と諭されたのでした。
 
 思い返せば、面に飛び込み見事有効打突を完了した直後に残心もなく勝利を誇示するが如き見苦しい引き上げをすれば有効打が取り消されるのである。
 礼法伴わない無法な技だけの勝利は武道精神に反するのである。
 今日のわたしの行為は実に嘆かわしい恥ずべき愚挙であったことになる。