もはや此のわたしには面を着装し竹刀を握る機会は日曜会稽古以外なくなった。
六水会からは長らく遠ざかり破門されても止む無しだ。
日曜日の鶴来での夕方5時過ぎからの小一時間はわたしにとっては実に貴重なる修錬の場なのである。
七段を筆頭に高段者が目白押しでその主力は四五拾代の猛者連ばかりだ。
そんな中にあって極めて異質な此のわたしは気遅れだけは避けたいので声だけは威勢を張って気力で懸ってゆくしかない。
とにかく、身一杯精一杯誠意を尽くすのみと老身に鞭打つのみだ。
打突に際しては剣先が鋭く走り先革を飛ばさねばならない。
その為には、右足大きく踏み出しながら大きく振りかぶり手首の返し柔軟に打突の共に左足引付け完了をおのれに言い聞かせる。
撥ね駒さんにはなるなよ、見苦しいよ。
高が知れるが余勢で走り抜け必ずや気位高い残心だけは決して忘れないよう留意はいたす。
斜面に際しては左拳頭上より振り切り決して左へ右へと横ぶれさせてはいけない。
飽くまでも斬り手左拳は上下の動きに徹せねばならないぞ。
当然、手の内の返し的確に刃筋が通るようおのれに強いるのです。
元太刀で受けるに際してもわたしは努めて正面で受ける。
遠い所で受け払って意地悪はしない。
我が面布団に当たる寸前に受けて上げるように常に掛かり手の意を察する配慮が大切かと存ずる。
更には細心の注意を払って相手との間合いを調整いたさねばなるまい。
合気の基本稽古、好いじゃないですか面白いではありませんか、それで十分じゃありませんか。
心道流剣術を名のり独り悦に入るのです。
わたしは、これにて剣道の醍醐味を十二分に堪能致しているのです。
皆さん方に感謝いたしているのです。