雑草園顛末記《33》

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 不憫にも感じ勿体なくも思いつつも柘植の成木二本は根元からノコギリ挽きの刑に処した。
 二メートルを超す大木に成長した五葉松はノコギリの歯が立たず幹諸共根こそぎ薙ぎ倒した。
 斬首の刑に処したも同然で非情な事を為したものだ。
 その内必ずや罰が当たるぞ。
 家主に似てもともと風采の上がらない雄松が一本あるが所構わず思いのままに徒長枝が伸び益々以って風采の上がらない無様な姿であった。
 脚立に乗り枝によじ登って手当たり次第に小枝ごと切り離した。
 ハサミとノコギリの両刀使い巧みの技とは言い難く実にぎこちなく危なかしい恰好で傍から見ればこれこそ無様に映ったことだろう。
 一度足を踏み外せば真っ逆さまに墜落したろうし握りしめる支えの枝がぽきんと行けばこれまた大事故でしょう。
とにかく命がけで断髪式に臨んだ。
 丸坊主とはいかず少しの葉っぱを残すことにした。
 お前さんはわたしの代わりに長生きしてしてくれよ。
 そして、この家を見守ってくれよ、と松に告げた。