四十万に霊宝山という気の利いた呼び名の御山があるという。
物見猛しい性分も重なり先日お天気の良い日に登ってみた。
地図に依れば標高180㍍とありあの末森山は139㍍で松根山は308㍍だったのでその中間くらいになろう。
ちょうど年齢相応の高さで可もなく不可もない然程の負担を感ずることなく山頂の見晴らし台に立つことが出来た。
原木を敷いて階段状の山道が整備されていた。
「山路きて なにやらゆかし すみれ草」可憐なすみれに身もこころも癒される。
ギフチョウらしき蝶がひらひらとと飛び来りて翅を休める間もなく過ぎ去っていくが、またやってきたりして退屈しない。
春浅いせいかすばしっこくシャッターチャンスがない。
すると、足元に巨大なカモシカの足跡を見付けたと思ったその直ぐ近くにこれまた実に巨大なる天然のジャンボ椎茸が道端にでーんと伏しているではないか。
さすがに食するには相当の決断がいるので取り敢えず天日で干して干しシイタケまで待つこととした。
車が行き交う国道脇をほんの少し入った箇所で本物の大自然が息吹いている。
野鳥のさえずりと梢を渡る風の音が吹き去れば静寂そのものの別世界が辺りを包む。
あの往時に彼の蓮如もこの霊宝山の山頂に立って眼下の絶景を愛でたのでしょう。
やがて、此の南部丘陵地帯に懸案の遊歩道が敷設される日も近かろう。