老いぼれの独り言

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中尊寺の表参道を月見坂と云うらしい。
鬱蒼と生茂る杉木立、樹齢400年の古木が立ち並ぶ。
江戸の昔に伊達一族の者たちが植樹したものらしい。
息を整え森林浴しながら静々と昇れば光堂に至る。
見れば、くすんだコンクリートの壁に被われ光ってはいないではないか。
あれよと思い、中に入れば総ガラス張りの器に覆われて目も眩むばかりの黄金色の仏さまが現れたのであります。
浄土の世界、藤原清衡の世界、血なまぐさいいくさを超越した平和な仏さまの世界が凝縮してこの空間に閉じ込められている。
清衡の遺体が今以ってこの金色堂の柩の中に実在するのだという。
嘘か真実か知る由もないのだが何れにしろ仏教文化の粋、日本文化の粋の真っ只中に身を置き至福の一時を弄んだのであります。
紛れもなく、この中は国宝第一号指定と世界文化遺産の輝く称号に囲まれ確かに眩しすぎるのです。
さらには、いろんな仏さまが入れ代わり立ち代わりしてわたしの前に現れて“遠い所によくこぞったな”とわたしのおつむを撫でてくれたような不思議な気持ちになったのです。
 
松尾芭蕉は此処で
 
五月雨の  
  降り残してや
       光堂
 
とても難解なる此の句を詠んだという。
陰暦5月は丁度今時梅雨の最中、五月雨はあらゆるものを洗い流してしまうが此処中尊寺の光堂には雨を降らさず中の宝物が朽ち果てることなく存えた事を詠んだものらしい。
此の日も中尊寺には五月雨は一滴も降り注ぐ事はありませんでした。
 
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