老いのひとこと

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風呂に浸かりながらラジオを聞く。
 その多くはNHKFM放送で音楽放送を好んで聞く。
 よく音楽遊覧飛行を聞く。
 ザカーポの榊原さんらが担当されるのだがその内のお一人中川安奈さんが急逝為されたのだと報じていたのです。
 これには些か驚いた。
 10月17日に49歳の若さで亡くなられたという。
 つい先週のことではないか、わたしが聞いた22日は中川安奈さんが担当なされた映画音楽ワールドツアーの再放送特集番を編集していたのです。
 確か、9月23日放送分だと伝えていたはずです。
 つまり丁度一か月前の生前のお声が今まさに再生されていたのです。
 「秋の夜長に聞く」をテーマ―に何曲か流がれていたのだが2曲目の終曲の部分は心なしかレコード盤の回転が遅くなり途切れるような消え入るようなか細い音で終わって逝った。
 ご自分でご自分の偽らざる心境を此の曲に託されたのでしょう。
 悲嘆のどん底にある落ち込むおのれの苦境をその曲の中に移し替えて十分に納得なされ又一時ではあるがおのれを紛らわせられたのでしょうか。
 正味40分間は哀愁と憂愁に満ちた旋律で貫かれ全編が静寂な雰囲気のなかに枠取りされていたのです。
 さすが父方祖父が中川一政画伯であり母方祖父を劇団俳優座代表千田是也という大芸術家の血を引く彼女らしく女優中川安奈さんは鬼気迫る中にも拘らず気丈夫にも芸術家魂の下FM放送音楽遊覧飛行を辛苦を乗り越えて淡々と担当なされたのです。
 見上げた尊敬に値する立派な人物に映った。
 お亡くなりになるまではわたしは中川安奈のことは何も知らなかった。
 もちろん、格別のフアンでも在り得るはずがない。
 あのソフトな語り口の中川安奈さんが斯くも筋金入りの物凄い人物であったとは本当に知らなかった。
 一人の人間としての凄まじい生き様を教えて頂きました学ばせて下さいました。
 奇しくも、60年前にわたしはわたしの母親を49歳の若さで失ったことをつい思い出してしまったのです。