老いのひとこと

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壺と甕、ツボとカメの違いは口の部分の直径がまーるく出っ張ったお腹の部分の差し渡しの三分の2以上あればカメさんでそれ以下ならばツボさんになるらしくちゃんとした区別があるらしい。


 東京大学の長谷部先生と云うお方の定義付けらしい。


 わたし達教室生は目下のところは此の壺の制作に当たっております。


 机間巡視の先生からもう少しお腹周りの膨らみを誇張させなさいとのサゼッションをいただきました。


 輪積みの繋ぎ目をその都度その都度丹念に修正しなさいとも有り難きご忠告をいただきました。


 


 今でこそ誰からもお声は懸らなくなってしまいましたが嘗ては右足注意継ぎ足注意!


しっかり守らんか!


力むな肩の力を抜け!


脱力だ!


おい、わからんか!


 こっ酷く云われたことを思い出す。


 それに引き替え今は何としても優しい。


 云われる内はまだ花だ、云われなくなる日も近かろう。


 高齢者の宿命でしょう。


 落ちこぼれは足手纏い、相手にされなくなる日も恐らく近かろう。


 


 仕掛中の我が作品をそっと我が家に持ち帰り炬燵にあたりながら作業を進めました。


 決して侘びしくはありません。


 喜び勇んで創作意欲に取り憑かれたように執り組みました。


 思いのままにわが意のままに手懐けることが適えられるのは最早此の粘土細工以外にはわたしには残されてはいないのであります。