老いのひとこと

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掛け買いの無い我が盟友愛用のパソコン君がとうとうむずかってしまった。


 電源を入れたが静止画面のままカーソルが行方不明で動きが取れない。


 当たり構わずキーに触るが応答がない。


 強制終了しかないのでボタンを押し続けるがこれまたうんともすんともしない。


 仕様がないのでコンセントを抜いて大元から断ち切ってしまったわけだ。


 ところが、其処は予てから此の上なく気懸かりな箇所であり兎に角足の踏み場もない。


 色んな周辺機器が乱雑に置かれそれらから延びる各種のコードが複雑怪奇に絡み付き絡まり合って最早収拾がつかない有り様だ。


 わが性分なんでしょう、好からぬ習性の為せるわざなのでしょう。


 むだかった釣糸を丹念に解すようにハヤル気を押さえて無用に長ったらしいコードを一つ一つ束ねて入念に整頓した。


 接続カ所をもとに戻し恐るおそる電源を入れれば


何んとか作動は致したものの肝心のインターネットに繫がらない。


 ネットワークの構成に問題がありローカルエリア接続に有効なIP構成がないとかチンプンカンプンなのだ。


 その内に、Windowsのファイルと設定を復元するので初期化するの表示が出て辛うじて何とか復元して呉れた。


 IT知識皆無のものがあれやこれや試行錯誤を繰り返すうちに大海原より寄港地に無事生還したようなものだ。


 自力更生によって命拾いを果たした。


 しかし、これとて偶々まぐれで矢が的に中ったのと同然であって決して手放しで喜べる筈がない。


 わたしは文明の機器を操作しているのではない。


 わたしは文明の機器に従属させられ弄ばされているに過ぎない。