老いのひとこと

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ラクタの入った木箱から実にみすぼらしく朽ち果てた掛け軸がでてきた。


恐るおそる広げて見れば虫食いも著しい大変お粗末なものではあったのだが描かれる絵は以外にも番いの鶴とカメさんであった。


描写は結構生々しく素人受けする出来栄えなのです。


ところが、丁度虫食いのカ所は此の鶴さんが悪戯して啄ばんだように見えるのが何となく面白いではありませんか。


なので丸めて反故にするのも忍び難いと思いご近所の表具屋さんにお伺いを立てて見れば相当張り込まなくちゃいけないよと十万近い金額を提示為されるのです。


這う這うの体で逃げ帰らざるを得なかった。


ただ此の鶴の絵の添え書きには丙午(ひのえうま)(弘化3年=1846年)の庚伏(こうふく)(6月=水無月)の月に金澤城の櫻屋にて理兵衛君(京都の豪商福田理兵衛=勤王家?)の家の繁栄を祝ってこれを贈るとある。


その贈り主が大雅堂主人清亮(せいりょう)なのである。


して、此の大雅堂清亮とは如何なる人物かと調べて見れば幕末から明治期の僧侶であり画家なのである。


京都双林寺の住職で池大雅の流れを汲む画人で父は月峰、弟に義亮、子に定亮がいるという。


ただ、清亮の代表作「富貴樹上双鳥図」は奇しくも此処石川県立美術館の収蔵品の一つとして数えられているのです。


清亮は好んで鳥を描いた事と此処金澤の地と深い関わりがありそうなので興味は尽きそうもないのです。


見様見真似の独学で裏打ち等の表装術を学ばねばならなくなるかも知れませんぞ!


さあ、愈々もって忙しくなるぞ、ウカウカできぬぞ、時間がないぞ!