行方不明のまま所在の判らなかった不肖わたくし謹製の甕一体がようやくわたしの手許に届いた。
大友塾頭が方々手をまわして探索してくれたお蔭であります。
終活の一環としてまず手掛けた第一号作品なのです。
とても渋い色合いと肌合いが出ていてなまなか好いではないか。
人目に付くことなく常に地中に埋もれている存在ゆえ地味に何処までもくすんでる方が見映えが良いのです。
何よりの傑作が蓋の把手の部分に剃髪の人物像がお独り鎮座いたすことなのです。
自画像との心積もりはなかったのだが何分此の甕の主がわたくし自身である以上そのように見られても仕方がありません。
此の像のように全てを何もかも達観し微かな笑みを湛えながら心穏やかにおさらば致し此の中に身をひそめたい。