老いのひとこと

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京都の紅葉狩りには少しばかり早いことは昨日の比叡の山肌からも察しが付く。


残念だが予定を早めて帰ることにしたのだが家内は「あべのべあ」を見てからにしょうという。


その時には聞いた事もない、初耳の「あべのベア」は安倍総理とどのような相関関係にあろうかと勘繰ったが俗界から縁遠き此の変人奇人の類には日本一のっぽビルのことすら正直知らなかったのだ。


天王寺区のJR天王寺駅の直ぐ真横に阿倍野区があり其処に「あべのパルカス」という日本一背高ビルデングがあり地上300㍍のところに「パルカス300」なる展望台があるのでその天上の楽園へ行ってみたいのだと家内はいうのだ。


「あべのべあ」は此の展望台のキャラクターであることをようやく理解した。


覇を競う、日本一の座を競う、科学技術・建築技術の粋を競い合い地域隆盛・国威発揚のため天にも届かん勢いを誇示する事は気風が好くて恰好いい確かに胸がスカッと致しましょう。


 


天上の楽園より地上を見下ろし一種異様な優越感にでも浸っているのでしょうか。


数多大勢の人たちが犇めき合いながら感歎驚嘆の声が発せられる。


一億総活躍の生々しき場面を皆さん肌で感じ取られていられるのでしょうか。


皆さん、にこやかに晴れやいだ表情に覗えて仕方がない。


 


釘を刺すようだが、実はこのような光景を目の当たりに致したのです。


心斎橋のアーケード街の人混みを歩いていたら前を行く親子連れのお子さんが手に持つ紙袋を路上に落としてしまったのです。


近くにいたお人が拾うて其のお子さんに手渡したのだが其の父親はわが子に“しっかり持ってなさい落としてはダメです”と注意を促がすばかりで拾い届けてくれた方には振り向きもしないではないか。


真横にいたわたしは咄嗟に頓狂な大声を出して“ありがとう”と叫んでいた。


皮肉を込めて此の若き父親に何かを感じ取らせようと少しばかり仰々しく演出してみせたのです。


でも、此の些細な出来事は何事もなかったように一瞬のうちに雑踏の中に揉み消されてしまった。


みんなに等しく出番があってそれ相応に活躍し合えるような世の中には程遠いなあと独り嘆いたのです。